不動産版 第2回「競合の供給状況をみる」

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今回と次回のコラムでは、前回に引き続き京浜東北線各駅圏域において、新築分譲マンションを中心とした供給動向を分析していきます。新築分譲マンションについては、その供給に関する情報が詳細にデータ化されており、多角的に分析できるようになっています。このデータを活用して、まずどのような企画で物件が供給されているか把握していきます。
(1)駅圏域内の新築マンション供給動向
 新築分譲マンションデータは首都圏、近畿圏、中部圏の三大圏で提供されており、首都圏では毎月、近畿圏と中部圏では隔月で更新されます。物件ごとに分譲戸数と発売年月、間取り、価格、面積、坪単価はもちろんのこと、事業会社、販売会社や敷地面積、階高、構造、容積率・建ぺい率などが収録されている他、物件の概要だけではなく、各住戸の間取り、価格、面積まで調査されています。
このデータに関するより詳しい情報はこちらを参照してください。
(首都圏では、新築分譲マンションの他、新築戸建て物件の情報もデータベース化しております。この新築戸建てデータを活用することで、これから行うマンションデータの分析と同様の分析が実現可能です。戸建てデータに関する詳しい情報はこちらを参照してください。)
実際にマンションデータを表示してみると以下のようになります。

【大森駅周辺における新築分譲マンションのプロット】

それでは、このマンションデータを使って、まず京浜東北線の駅圏域内(徒歩10分圏)における供給量と坪単価の推移をみてみます。
【京浜東北線の駅圏域内における供給量と坪単価の推移】

※ただし、2005年は5月まで
2000年をピークとして、年間供給量は若干減少してきています。また、坪単価ベースで見ると、1997〜2002年にかけて大きく下落し、2003年に上昇に転じたものの、2004年から再度下落してきています。
(2) 各駅圏域ごとの面積帯別供給量の変化
 次に、直近5年間(2001〜2005年)とそれ以前(1995〜2000年)にわけて、面積帯別(1.40m2未満 2.40〜80m2 3.80m2以上)に供給量の変化を分析し、物件タイプによって供給量にどのような変化があったかみてみます。
【駅圏域ごとの面積帯別分譲戸数(1995〜2000年)】

都心部ではほとんど物件が供給されず、周辺地域(鶯谷、上野、浜松町、田町、大森など)で40〜80m2のファミリー層向け物件が多く供給されていることがわかります。

【駅圏域ごとの面積帯別分譲戸数(2001〜2005年)】

都心部で40m2未満の物件が急激に供給されるようになり、また品川、大井町、大森では、80m2以上の広いスペースをとった物件が増えています。

これを供給量の増加率で見てみると次のようになります。

【駅圏域ごとの物件供給増加率(1995〜2000年→2001〜2005年)】

都心部での物件供給が著しく増加していることがわかります。これを面積帯別に見てみると、まず40m2未満の増加率と、80m2以上のワイドマンションが増加しています。これまで多く供給されていた40〜80m2マンションは東京と有楽町を除き、ほとんど増加していません。これは、40〜80m2タイプの物件需要が飽和状態となり、各事業主ともターゲット世帯を変えてきていることがうかがわれます。

それでは、特に増加率の高い3駅(東京、有楽町、神田)に供給された物件を抽出して、企画別物件供給動向を分析してみます。

【物件供給増加率ランキング】
(3) 増加率TOP3における企画別物件供給動向
 縦軸に住戸タイプ、横軸に専有面積を取ってクロス集計してみると、供給されている物件のほとんどが「1R/1K」タイプであることがわかります。供給構成比にしてみると、全体の60%を超えています。次いで2LDK、1LDKとなります(2LDKと1LDKの構成比はほとんど変わりません)。

2001年以降に東京、有楽町、神田に供給された物件は、1R/1K、1LDK、2LDKにほぼ集約しており、利益率の高い物件がシングルやDINKSなど利便性に対する優先度が高い世帯向けに供給されていると考えられます。

第1回でも見たとおり、世帯の増加が人口の増加を大幅に上回る、つまり世帯の細分化減少が進んでいますが、都心部ではそれが顕著に出ていることがわかります。
 
【企画別物件供給量(2001〜2005年)】


【企画別物件供給量構成比(2001〜2005年)】
 
なお、東京、有楽町、神田に物件を供給している事業主ごとに分譲戸数・平均坪単価・平均価格・平均面積をリストアップしてみました。平均40m2未満の物件を供給している事業主の坪単価平均は、ほとんどが300万円を超えています。

【増加率TOP3に供給している事業主リスト(供給量順)】



【事業主別供給量の比較】

→3.価格相場と収益力をみる

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