データ活用例-地域密着型店舗の面的展開と販売促進戦略「顧客分布とカニバリゼーションの回避」

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流通版 第3回「地域密着型店舗の面的展開と販売促進戦略」
3−5.顧客分布とカニバリゼーション(チェーン店舗同士による顧客の”共食い”状況)の回避

最後に、既存店舗のB店、D店、J店で収集している会員データの分析を行い、チェーン店同士の顧客の取り合い状況を把握してみます。

会員データに地理的な情報(住所や郵便番号。場合によっては電話番号でも可)が収録されていれば、それをもとに地図上にプロットすることができます。Z電機では会員登録時に住所と郵便番号を記載してもらっているので、今回は住所を参照して会員データを地図上にプロットしてみます。

【既存店舗の会員データポイントプロットマップ】


赤い人形のアイコンが会員の住所を表しています(ここでは、町丁目レベルまで住所を解析しています)。町丁目ごとの会員数で地図を色分けしてみると、会員を取れている地域と取れていない地域がはっきりとわかります。

【既存店舗の会員分布】


この分析マップを見ると、店舗周辺地域でもまだ会員化が進んでいないことがわかります。

さらに、会員数と総人口を二次元的に分析してみます。これによって、「人口が多いのに会員化が進んでいない」地域、「人口が少なくても会員化が進んでいる」地域といった分類ができるので、重点戦略エリア(未開拓エリアの掘り起こし、もしくは顧客集中エリアでの囲い込みなど)の特定に効果的です。

【会員数と総人口の二次元分析マップ】


色が赤色になると、「総人口は少ないが、会員数は多い」、つまり会員化が進んでいる地域になります。色が赤色から黄色になると、「総人口が多くて、かつ会員数も多い」地域という区分です。一方、緑色の地域は「総人口は多いが、会員数は少ない」ことになり、未開拓地域と考えることができます。

また、チェーン店を配置する際には、既存会員の取り合いに注意しなければなりません。フランチャイジー戦略では、店舗のオーナーに対する説明責任も出てくるかと思います。

次の分析マップは、町丁目別の店舗別会員数割合を表しています。

【店舗別会員数割合】


町丁目ごとに表示されている円の大きさが、その町丁目内における会員数のボリュームを表し、構成割合のうち、赤色はD店の会員数を、緑色はB店の会員数を、青色はJ店の会員数を表します。台東区北部〜荒川区南部のドミナントエリアでは、多くの地域でD店会員の割合が高いことがわかります。ただし、B店周辺、J店周辺でもD店の会員割合が高いのは問題です。B店、J店とも自店商圏内の会員化を推進する必要がありますし、D店では設定商圏外、特にカニバリゼーションとなりうる地域での販促活動は控えていくことが必要です。

一方、南千住検討店周辺では、空白地域(会員が取れていない地域)も多いので、顧客開拓のための戦略的な立地としても適していると考えることができます。
 
 
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