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流通版 第1回「経営資源の選択と集中」 |
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1−2.エリアポートフォリオによる店舗のスクラップ&ビルド
次に各店舗の市場規模と市場成長力を見ていきたいと思います。商圏内における市場規模および市場成長力、競合状況、市場占有率(シェア)、売上実績等を多角的に分析し、店舗のスクラップ&ビルドを検討してみたいと思います。
先ほどと同様に、店舗から2kmの距離を基本商圏として、夜間人口と昼間人口、駅乗降者数、商品購買力(所得水準)を比較してみます。
【各店舗の昼夜間人口比較グラフ】
【各店舗の駅乗降者比較グラフ】
【各店舗の所得水準比較グラフ】
→昼夜間人口比を分析するために、国勢調査と昼間人口を使用しています。
→駅別乗降者数に関する詳しい情報はこちら
→所得水準を把握するための年収別世帯数データに関する詳しい情報はこちら
これを見ると、A店、D店、G店、H店は、昼間人口の比率が高く、駅乗降人員も多いことから、昼間に集まってくる人を対象にした戦略が中心になってくることがわかります。一方、B店、E店、F店、I店、J店などは、昼夜間人口比率がバランスしており、夜間人口を対象にした戦略、つまり地域密着戦略が重要になってきます。また、所得水準が高いエリアでは、比較的高額な商品に対する購買力を期待することができると考えれれます。
次に、市場成長力・市場占有率(シェア)の関係と売上実績との関係を分析してみます。
【エリアポートフォリオ(年間売上額との関係)】
【エリアポートフォリオ(年間坪効率との関係)】
→市場成長力を把握するための国勢調査に関する詳しい情報はこちら
→マーケットシェアの分析に必要な商業統計に関する詳しい情報はこちら
このエリアポートフォリオでは、横軸に商圏内の家電販売額に対する自店シェアを設定し、縦軸に市場成長力として、H7からH12の5年間における人口増減率を設定しています。また、バブルサイズには年間売上額もしくは年間坪効率を適用しています。H店は、都心回帰の影響が考えられますが、市場成長率が高く、売上額も大きくなっています。しかし、新宿という激戦区エリアということもあり、シェアは上がらず、単位面積あたりの売上で見れば相対的に効率がいいとは言えません。一方、D店、F店などは効率の良い店舗運営ができていると考えられます。
このエリアポートフォリオの区分を市場占有率および市場成長率の平均値で4つに区分してみます。
※市場占有率の平均値は13%、市場成長率の平均値は2%
【A】問題児 |
【C】スター |
・A店、G店、H店
→スター候補の選定
→スター候補は重点セールス |
・D店、F店
→トップ地位の保持
→エリアの深耕 |
【B】負け犬 |
【D】金のなる木 |
・C店、E店
→撤退の意思決定
→他の店舗への資源再配分を検討 |
・B店、I店、J店
→既存顧客との関係維持
→競合の新規参入に注意 |
Bグループに属するC店は、市場環境からみても撤退を検討する状況にあると考えられるかもしれません。
次回のコラムでは出店候補地の絞込みと立地調査を行い、市場の見定めとスピーディな出店計画について検討したいと思います。
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流通版 第1回「経営資源の選択と集中」
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